箱根にやってまいりました。
三島&三島スカイウォークから箱根フリーパスを使ってバスに乗って一本。
本日のミッションはこちら、箱根旧街道石畳。
途中の写真で申し訳ないが、この地図の茶色い点線に沿って箱根湯本へ向かって散歩をする。
しかしこの地図、いまいち所要時間がわからない。
各時間の意味が薄茶色に囲まれてるところまでってのに気付いたのは地図内の現在地まで歩いた時だった。
俺は左側から進んだから、印のある範囲内で130分目安ってところか?ほんとに?
歩くにあたり注意することががある。
まずは、時間に余裕を持つこと。
次に、石畳はぼこぼこしているので足首と膝を痛める可能性を理解しておくこと。
そして。
猿。
猪。
熊。
が……がんばるぞい。
まずは道なりに階段をのぼり、車道を避ける。
すると石畳に到着、ここからが本当のスタートだ。
こちらからのルートはのぼりが少ないとはいえ最初はそこそこ体力を使う。
丁度いい位置を見繕って歩くことになるので、風景より下を見がちになってしまうのは勿体ないことだが、平面ロッククライミングと考えると野生の勘を鍛えるのに役に立つ。
道中たびたび車道を挟むので車に気を付けつつ足早に渡ろう。
邪魔だし雰囲気ぶち壊すなと思うところはあるが、道が重なることで昔の人たちが歩いていた指標があったから築けたものなのだと実感ができて優しい気持ちになる。
勿論土の上を歩くことだってあるし、階段になっているところもある。
ここは後ろを向いて撮影したものだが、掴むものがない状態では危険な高さと頻度だ。
歩くこと30分強。右手を見ていると現れるのが甘酒茶屋。
冬なので扉が閉まっているし、外に人が居なくて不安になるが、障子を開けると満席レベルに皆さんくつろいでいる。
藁ぶき屋根で太陽を隔てた店内は暗くて、ここにしかないお土産もある。
ストーブが2台だったか、動いているので中はとても暖かい。
写真のことを考えると外で食べるのが一番いいんだが、店の奥で囲炉裏に火が入っているのを見つけちゃったら抗えない。
ここでは黒ごま黄な粉を注文。
黄な粉より黒ごまが強く出ている商品で、合間に挟む柴漬けもポリポリと良いアクセントだ。
甘酒茶屋を後にして、次の目的地は畑宿。
ここからは車道の横を通ることが増えていくのと、カーブが多い場所なので歩行者は階段で。
手すりはあるものの、転んだら誰かが気付くまで時間がかかりそうなので気合を入れていかなくてはならない。利用者は少なくないとはいえ、多いわけではないからな。
石畳は続く。
看板の無いところでは石畳そのものが道しるべのようなものなので、あってくれることにホッとする。
てく。
てくてく。
て?く。
心折れる音。
車、少なくないんですけど、車道に、出ろと、申すか???
ひんひん、俺は泣いた。信じたルートに裏切られ、怖い思いをした。もう自然しか信じない。
気持ち的にはもう、すぐに、畑宿に到着する。
階段ばっかりだったのでそこまで進んだ気がしないし、何かが道中にあった覚えもない。心は折れてたけど。
寄木細工の工房のたくさんあるこの地は道半ばの宿場街らしく、息抜きやら案内やらで旅人を癒してくれる。
心折れる音。(2度目)
人の気配がするのは安心することだけど、突然ノーヒントで整備された道を行けと言われると正しい方向がわからない。
俺を帰してくれ。もう自然しか信じない。
まっすぐいくと曲がり角に、往くべき道の目印がある。
人様の家が写り込んでしまうので撮影が憚られる。
ちょっとだけ進んだところにもうひとつ目印があるが、そちらもそちらで墓が写り込むのでもっと憚られる。
アスファルトとコンクリートから石畳に戻り、足取りがより丁寧になっていく。
落ち葉が多いので滑らないように気を付けて、一歩ずつ、一歩ずつ。
なんだかとっても緑が深い。
ここまででは見なかった水場が、このあたりから増える。
シダが増えて生き物の気配がして、ひんやりとした空気が足元を通っていくだろう。
沢のせせらぎが穏やかな時間を迎えさせてくれて気持ちがいい。
……突然難易度上がったな……。
難易度……上がったな……?
2時間程度で終わる道だと思っていたんだが、ここの時点で約2時間。残り5.3km。
見知った平地でも1時間かかる距離だ。初めての経路で写真を撮ることを考えると倍以上、行程の中断が選択肢にあがってくる。
おかしい、どうしてそんなにかかっている?餅食ってたにしても、マジでわからん。
短距離だけ残された江戸時代のままの道、近くても250年の歴史をしみこませた、努力と苦労と優しさの結晶を踏みしめる。
俺たちの時代に整備された道より、なぜだか気持ち歩きやすい。
道路を渡ってあと5km。
バス停が見えるが、ここが最後のターニングポイントかもしれない。
バスの本数は多いが、バス停に都合よく遭遇できるかどうかはわからない。
悩んで、悩んで、歩くことに決めた。
こういうのって車道じゃないほうを選べばいいんだよな?
別の物のために作られた案内に食われて知りたい情報が見当たらない。渡る前にある表示的にはこっちっぽいんだが。
コンクリートで作られた斜面を下るんだが、ここまでと滑り止めの形状が異なり統一感がない。ここ入っていいやつ?
表記が湯本じゃなくなったけど本当に大丈夫か?
奥湯本と湯本で数km違うとかそういう話ない?
車社会ってそういうことするじゃん?車道とも逆走させる方向だし本能に従って大丈夫?
あとこの神社?何?お狐さんが塀の上で踊ってるけど何?
付近は曲がり角ばっかりだけど参拝しづらくない?
ほんとに?
ほんとにこっち????
突然難易度上がるんだけどこっち???
ほんとに?ほんとに??
太陽が!!太陽が影って!!暗い!!!
くらいよこわいよ!!暗いよ怖いよーーー!!!
冗談じゃなく山はマジで!!!!!!!!
日が沈んでいく中で旧街道表記の無い遊歩道は!遊歩道は不安しかない!!!
700mほどって言ってるけど、さっきの川渡り切るところでえげつない段差の岩を飛び移らされたんだけど、暗くなるとあそこ渡れんぞ?
引き返すなら一秒でも早い方がいいんだが本当に進んで大丈夫か?
冬は10分あればまっくろくろすけだぞ??
しかもここ車道と川挟んだとこだから見つけてもらえないし、近くに発電所あるったって夜間封鎖は無さそうだからここを通る人もいないだろうし、水が近いから温度は下がるし、飲み物あるけど食べるものはないし、戻ろうとして川で転んで打ちどころが悪ければ……。
死。
わああああああああああああああああ!!!!!!!!!!やだああああああああ!!!!!!!!
走る心でゴオオオオオル!!!!
ここ、どこ!?
道あってんじゃん!!言ってよ!!!名前揃えてよ!!案内してよ!馬鹿!!!!泣くぞ!??
心折れる音。(3度目)
17時、これ以降は車道に沿って歩くことになったことと、流石にこれ以上の時間に自然道は無理だろうということでここでギブアップ。暗いと写真も撮れんしな。
箱根湯本までは朝イチから向かうなら間に合うんだろうが、昼すぎてからは反射板なりライトなり持ってないと安全面がNGだな。
交通量が少ないわけじゃない上、対向車との交差も難しい道路に歩行者が入り込むのは現地ではよくあることかもしれないが快くはないだろう。
再チャレンジは……車道相手だともう……いいかな……。