「カラダ探し」という作品がある。
ネット小説からジャンプ+でコミカライズになったあれだ。
作品は複数シーズンの構成で、完結してもメンバーを変更して1からリスタートの形式をとっている。勿論その都度ストーリーは進むが、やることは大体同じなのでそこそこシンプルだ。
呪いを解決させる章である解のラストは「お……おう。」となりはしたが、面白い構成なのであと5巡はしてほしいとすら願っている。
映画がやっている通り、実写向けである。しかもホラーによくある呪い継続エンドでも主観平和エンドでも大体原作に繋げられる。キーマンが設定されているので過去編や学校に関わらない番外短編も不可能ではない。
主要人物の皆もシーズンによっては関係や性格が異なる場合があるので、キャラの根っこの部分が変わってさえいなければパターンのひとつとしてスルーできるし、繋がらないことが多少出ても前回の弊害と言い張れる。
あまりにも変わってしまうなら名前を変えて別チームとして動かしてもいい。時系列が既存の公開物に被っても全くの同日開始じゃなければ並行できるようだし、便利すぎる原作である。
どう組んでも平気ということは、それだけバリエーションを増やせるということでもある。
あくまで原作者の意に反さない程度で、だが。
だがこれには問題もあり、パッと目についた漫画を開くと、それが新作なのか旧作なのか判断がつかない。
あのシーンはどの媒体で見たものなのか、思い出せない。
あのキャラはどのシーズンで出たのかすら。
映像も文字も漫画も含めてごっちゃになってしまう。
いったい今は何度目のカラダ探しなのか。
このタイトルは謎解きイベントなどのテーブルトークとしても生きてくる作品であり、本編がネタバレにならないくらいに幅がある。
しかも謎解きの場合、キャラに憑依する形ではない「自分というキャラの追加」や「まるっきり異なるチームでのゲーム」にしても世界を壊さない上、物語に繋げることもできるわけだ。
実際、謎解きではないがオンラインイベントはあったらしい。
コンシューマーゲームとなると敵の出現がランダムなのと日数のバランスをどうするのかというのが難しそうに感じる。片方だけなら楽そうだが。
探し物&かくれんぼゲームはあるからそういうのになるんだろう、ランダム部分とフラグによる進行があったとしても作業ゲームになりそうで、面白く作るのは難しそうなジャンルだ。
探して逃げる部分だけならVRで遊ぶのも楽しそうな感じもするが、室内にあるものを回収しつつ敵から逃げてってのはPhasmophobiaのホリデーシーズン(建物が狭いし回収したものが勝手に定位置に設置される)ですらかなりキツいのを体験済みなので絶望しかないし、やめておいてほしい。
多分拾ったパーツがロビーに飾られるし、その時点で正気度が下がる。逃げ場無しで怖いのはいけない。
かといってデスクトップだと怖くないからいけない。人間とは我儘である。
これはこの作品の特殊なところだが、主人公というものが存在するものの、一人でいる場面以外は他の主要キャラクターも同じ程度描写されているので「このキャラがメイン」という印象が薄く、ゆえに自分自身の一人称で参加しても違和感があまりない。
オムニバスホラーといえばそんなもんかもしれないが、こんなに便利で自由でユーザー参戦に秀でていて、キャラクターありき・ルールだけのどちらでも活用できるタイトルはそうないだろう。
言い出すのがちょっと遅れてしまったが、このタイミングで色んな作品を生み出しまくってくれないかなと今後も期待をしていきたい。
ということで、牧原久人はカラダ探しならびにこういうスタイルの作品を応援しています。