丑三つ時の読書

年末年始とは大掃除とセールついでに大解放が実施される時期だ。去年はK2に持ってかれた。

ということでpixivコミックも全話開放キャンペーンを行っている。

正直解放と言いながら数話しか無い漫画もあって異常に話数が多いもの以外閲覧対象から外れるわけだが、多分タイミングが違うんだろう。
開始時期を一斉にしろという話ではあるが、そういうのを雑に纏めるのは良くないと思うぞ。

さてそんな異常に多い話数を指標にして読ませていただいているのが、今市子先生の百鬼夜行抄だ。

1995年に開始した、軸になる人間のいるタイプのオムニバス形式の怪奇譚だ。

師匠シリーズと似た読み心地を感じるので、ああいうのが好きな人向けだろう。
とはいえ、あのシリーズの読者はとっくに手を付けていそうではあるが。

読後感はあちらより弱く、恐怖を現実に置いていったりはしない優しさがある。
解決したり物語をきちんと締めてくれてるからだな。投げっぱなしでお憑かれさまでしたする昨今の短編ホラーには見習っていただきたい。

信頼できない語り手系の作品なので先頭に戻って読み直しをする頻度がそれなりにある。ゆえに最初から最後まで一気読みするには時間が必要なのは注意してほしい。
俺は半分読む時点で4日かけてる。

永遠に終わらなくて物の怪の道に迷い込んだのかと錯覚するが、それほどに歴史があるというか……ネタが尽きないことへの畏れというのか、作品に対してそれそのものが怪の類ではないかと疑いすら湧いてしまう。

怪異の息遣いを深く感じる作品、惹き込まれるのは「面白いから」だけだろうか。

そこに居る何かに呼ばれているから、なんてことはないだろうか。

俺と君が読む話はどちらも同じ結末を辿っているのだろうか。

確かめる術は、ない。