知識の海の下に埋まれ


明治大学に行ってまいりました。COMITIAの見本誌読書会で恒例のあそこだ、そのために行ったんじゃないが。
建物はいくつかあって、その中のどれなのか事前に調べるか一番目立つ建物で訊かないとわからないんだが、とりあえずこちらだ。オシャレだなぁ……。
学びの自由というものがあるが大学前のベンチには人が各々フリーダムな格好で本を読んでいる。年齢も性別も関係なく、学問を開いた状態というものがどういうことか、求められたのはこの姿なのではないかとハッとさせられる。


ガラス張りの建物に入ると正面には受付がありお姉さんが座っていたがパンフの山が目立ちすぎて目前になるまで気付かなかった。
左手にポスターを貼りまくった壁があるのだが、その裏……というか中にエスカレーターの乗り口がある。わかりやすい案内になっているがテンションを上げ過ぎるとガラスに書かれたものに気付けずどっちで降りるのかわからなくなる。
俺の目が節穴なだけなんだろうが「エスカレーターの時点で知力を問われているわけか。頭のいい大学だけあるぜ」と考えてしまった。受付くらいしか人がいなかったので恥ずかしくないぞ!


こちらの博物館はフラッシュを焚かなければ撮影ok、早速観光を開始していくぞ!
入口すぐは大学の成り立ちから。昔使われていた校門が迎え入れてくれるので感謝しながらまわろう。


とりあえずまずは京王パンフにホイホイされていくが目的はもっと奥、さらに地下に潜ることになる。エレベーターもあるので安心して沈んでほしい。


地下への目印はこれだ。階段の少し奥にエレベーターがあったはず……だがうろ覚えなので間違ってたらすまない。
降りるとコーナーが3つに分かれている。目当て以外あまり興味なく向かってもいいと思うぞ。俺は拷問の展示を見るために来たので至って平和なコーナーである製造歴史的なところですら


これは人を中に入れるものだな。と思った。
実際入れて町一周させるような話あるだろ。ついでに川に落とすとか、あるだろ。


3つのコーナーのどれにも属さない部分にはまた異なった展示物もあり、俺としてはこちらのものが当時の印刷技術を見て、木版ってこんなに綺麗に刷れるのかと感嘆した。


角には大きめの埴輪たちがいて結構な圧を感じる。これ、かなりでかい。


考古学コーナーの壁には貝塚の断面も飾られていて、これがまたでかい。
どうやってここまで持ってきたのか、どうやって固めたのかさっぱりわからないが当時結構でかい貝を食ってたりしてたのがわかって中々楽しい。でもキモい。

さて、メイン目的以外をぐるっと回ってみたところだがこの博物館、順路というものが存在しないのか俺が見つけられていないのか、他の人と正面からぶつかっていく。
美術館なんかではざっと見て好きな作品まで戻って眺めろと言うがこういうものに順番というものはないのだろう、好きな順で見ていけばいいんじゃないかな。居づらいことに違いはないが。

などと人様の邪魔をしながら突っ切ってみると


ワァメッチャミテル。ジュンロッテダイジ。

ということで拷問展示に移動する。ワンフロアに全ての展示が存在するのでコーナーとしてはとても狭いぞ。
具体的に言うとこの写真の目の前の入り口から次の入り口までのコの字くらい。


石抱拷問は迫力がない、これは石を支えてるパーツがあるからだな。保存の観点から重石の役割を果たさせてはいけないんだが勿体ないもんだ。
こういう展示って使い方を知っている前提でないとかえってわからなくなるんじゃないか?それを現地で教えるためか後ろに絵があるけども、遠すぎてわかるようなわからないような。


知識の有無の重要性を強く実感するのがこちらの器具「鋸引き」だ。
この刃の荒いのこぎりでその場にやってきた人がノリで首を削っていくなんて想像するだけでも恐ろしい。
……と思いきや鋸はただの飾りで、使われないように見張りがついたとか結局引き回しにしたとか。


石抱よりもマネキンが欲しいのがこちらの「釣責」。どういう風に縄が喰い込みどこで支えてどこに不可がかかるのか、図を見てもよくわからない。
似たような感じのものがSMにあるらしいんでいっそそっちとハシゴした方が理解が深まる可能性すらある。安全性の問題からそれをするところは無いと言っても過言ではないようだが。
吊り方がひとつじゃないから飾れないというのもあるのかな?頼むから説明をもっとくれよ。


ところでこれ割れてるんだが経年劣化なのか最後の最後に重い人でも吊るしたんだろうか。


これに至っては何がどうなっているのか説明文から察さなくてはならなくて無茶を言うんじゃない。


メインのアイアンメイデン、これについては俺はずっと使い方がさっぱりわからなくて不可能さだけを覚えていたんだが実際針ついてたかどうかは疑われてるとか書かれていた。
針を正面からではなく角度ありで刺すことや刺さった状態で中身だけ落下させるという内容に想像力が働かなかった。黒ひげ危機一髪ならまだしも、だ。
三角錐で徐々に骨と肉を圧迫する場合でも中々死ぬとは考えられないし……。


恥辱刑であるという補足もあるものの、そこまで開閉するものでもなければ部分開閉ができるものでもなさそうで正直何がなんだか。価値観も常識も異なる現代で道具ひとつだけ見せられても何がどう恥だったのかさっぱりわからん。
これに入れられること自体が屈辱、というのもあるんだろうがそうなるとやはり頭だけ開くとかそういうギミックが欲しいし、このレプリカでは溶接されている形跡があって現物が開いたのかどうかさえわからない。

色々都合があると思うんだが、一方からしか見れなくて距離もあるのでよくわからないところも多い。
背後に鑑があるなり手前の説明部分に写真があるなりしたらいいのにと思うが、難しいんだろうな。

ギロチンもあったが写真がぶれたのでここでは無しで。
寝ころばせて断つタイプなのかと思いきや首穴にそこそこの高さがあってどう運用されたのかちょっとわからない。
マリーアントワネットの時には自身の最期の顔が見れるよう鑑が張られていたらしいが、それとは別の物とはいえ首が飛ばないようにか壁が設置されていたりして漫画なんかで見てたものと結構違ったな。
首の穴にはギロチンの刃がぶれないようにしている面もあるのかなとか、脚の組み方も必要最低限なのにしっかりした鉄の使い方なんだろうなとか。考えるところがあった。

ギロチン・アイアンメイデンでわかるのは「日本は死んだ後に長々と晒すけど向こうは生きた状態で長時間晒されるんだな」というところだ。
生きてる間の晒し方も全然違うし、人権的にはとても生易しい国なんだな。

 

規模や場所からこのためだけに上京してまで向かうところかと言われると首を縦に振ることはできないが、疑問や気付きへの入り口としては良い場所だと思う。1の疑問は10の知識に繋がり、10の知識は100の興味に繋がる。興味は生活を輝かせる宝石のようなものだ、いつ芽生えても損はなく、いくら増えても利しかない。
人の多い有名どころよりとっつきやすいだろうし、入場料がないので貧困で文化に触れられないような問題も解決する。なんなら待ち合わせや用事の間にちょろっとだけ眺めてみるということだってできるな。
他の展示施設の邪魔をするような規模のものでもなく無理のない範囲で運営している、学舎だからこそできることで、ある意味では寺院なんかと似ている。
大学という硬いイメージの場所に関心を持たせることもできて、場所を造ることで資料を貸与してもらうことの敷居も下がる。学校側にとっても利点の多いものなのだろう。
そうでなくとも長い間存在する施設には保存すべき物が生まれるのだからもののついでに造られた資料室を活用していくわけで、上手な運用方法だよな。

 


などと持ち上げた後、大通りではなく裏側から抜けたことにより飾るところと飾らないところの予算の違いを垣間見てこれは拷問よりよっぽど残酷なのではないかと、一人考えるのであった。