そして小樽へ

早くも最終日。
ホテルに荷物を預けて、一路南へ向かった。


どん。


どどん!!

友の薦めで二条市場にやってきました。
どんぶり茶屋さんの丸鮮丼、2880円だ。
ここは市場の路地の中にあり、入りやすさもあってか満席になっていた。

濃厚な車海老。
臭みがなく甘いウニ。
醤油で誤魔化していない薄味だが、それが食べやすさになっているイクラ。
滴るんじゃないか?って思うくらい中に汁を含んだカニ。
赤身と違う口当たり、筋が邪魔をするが、何枚でもいけそうなまぐろ。
とろけるかと思われたが、実は真逆。いくらとともに食うとさらに引き立てる正に親なサーモン。
甘みは薄いが、口の中で踊るように噛むほどぷりぷりさを主張するほたて。
新鮮ですりたてなのか、辛さがピリリと舌を刺激するわさび。
そして、カニのうまみが存分に染み出た、まるでカニそのものを飲んでいるかのような濃厚なカニ汁。
カニ汁だけぐいぐいいけるくらいに一番うまかった。

ウニは時化で色が悪いですがって言ってたけど、色を気にできる地域に住んでないからな。
うまければそれでいい。色までよかったら勿体無くて、完璧すぎて怖いくらいだ。

タラバ棒がやってなかったのが残念。
あと、うっかりここでエビ食べちゃったからエビ分が足りない。エビ食いたい。
そういえば北海道でエビメインって聞いたことないな。

 

完食して二条市場を後に。ネタでトドとクマの缶詰買ったけどそんくらいか。
アザラシカレーとかあったけど、ほんと缶詰土産が斜め上な県だよなぁ……。そういうとこが好きなんだけど。

荷物を受け取って札幌駅へ。
ここから小樽駅へ移動しt


トワイライトエクスプレスさんだ!!!!!!!!
渋い緑の車体に金のロゴ、間違いない。かっこいい!
ああ、実物見たの初めてか。いつか乗ってみたいもんだ。
出発前にいいもん見れたな~。

満員の車内。
当たり前だ、小樽行きは空港快速。人の多い場所から人の多い場所に向かうのだから。
電車は北へ。電車は西へ。着々と移動を続ける。
札幌から北へ行けば見えるもの、小樽にあるものといえばそう。


海だ。…………って何この海こえぇ!!!
なにこの、足つけたら攫ってくれるような波。
こんなんで本当に無事に小樽に着くことが


できました。

雪の中、荷物は邪魔になるだけなのでコインロッカーに突っ込んで観光だ。


線路は埋もれてしまっているけれど、線路跡。
あまりに自然にあるもんでスルーするところだった。


線路の上を歩いてみる。といっても肝心の線路は見えないわけだけど。
何人かの人が同じように歩いた形跡がある。
その中でも一番遠くに足跡を残してみた。
また、次に来た人がおれより先にいくのかな。なんて、一時だけの一番を噛みしめて。

次はどこにいこう。
観光船なんてものがあるようだ、乗れたら寒いだろうけど楽しいだろうな。


デスヨネー。


観光船船着場から裏手へ。
波止場の端が見えなくて、下手に動けば海に落ちてしまうだろう。
誰もいない場所でそんな恐ろしい真似はさすがにできない。
付近についている船は、その体に3本の青いラインを印している。海保の船だというのが一瞬でわかる。
ならば安全なのではないかと思わなくもないが、人の気配のしない船では意味が無い。
適度な距離をもって海を眺める。冬の海とは、そういう関係でいい。そういう関係がいい。


東に向かって進むと、自分以外の足跡が見当たらない。
ここまでくるような人はそうそういないのだろう。雪独り占めし放題だ。
俺がここにきたって証を、雪だけが知っている。
なんだかロマンチックじゃないか。


昔は定期運行していたのだろう、少し離れた場所にあるし駅までバスでも出てたのかな?
単にいらなくなったのか、それとも問題が起きたのか。
わからないけれど、運行しなくなったのは遠い過去ではないだろう。
もしまだやっていたのなら、旅路に入っていた可能性も僅かながらあったのだろうか。
…………高いし、ないな。


雪捨て場とか見れるもんでもないのでテンション上がる!
雪のせいで海水の温度が上げられなくて表面が凍ってたり、何度押し込んでも押し込んでも減らない様とか、背に積んだ雪をひっくり返して落とす様とか。
いや、まさか実物見れるとか思ってなかったから。
こういうとこ、子供とか好きそうだよなー。俺もたいがい好きだけど。


思えば遠くに来た気がして南へ戻ると、そこはちょうどメルヘン交差点。
日本のような、日本じゃないような、様々な雰囲気の建物が並んでいる。
ど真ん中に溢れ出す出石感が全てを破壊する様は中々面白い。

そういえば、夕張メロンソフトとか北海道のアイスを食べてない。
目の前に飛び込んだ看板に、自然と足が向いていた。
腕は扉にかかり、思い切り引いて。気付けば口からは言葉が発されていた。
「ください」


「生チョコソフト」
あ……あれ?

銀の鐘1号店さんの棒状の生チョコが入ったソフトクリーム。350円。
350円でこれは安いわ。
ただ、上にかかったココアパウダーのせいで食べる際に吸ったら気管に入る。
わかってて吸うんじゃねぇ……俺は……バカだッ!!


店を出たら少し路地奥へ。
電線があるのがいいのか、電柱で台無しになってるのか。
よくわからない絶妙な配分。
わかることは一つ。「雪が似合う」ってことだけだな。


少し坂を上ってみる。ぶっちゃけ道を間違えたんだけど。
上から見る景色も良い。
この雪の中、坂を毎日のぼるのは大変だろう。
そりを楽しめるってのはあるけど、それ以上に苦労があるだろう。
それでもこの景色を楽しめるのは羨ましいなと思ってしまう。


駅へ戻る間にも店はいくつもある。
中でも目立つ看板で、ユーモアに富んだ“観光地ならでは”な店がある。
「お父さん預かります」
メルヘン通りと言うだけに、お父さんには居づらい場所なのだろうか。
オルゴールやクリオネに、お父さんは興味を持たないからだろうか。
寒いところで待たなくていい、いい商売だしいい宣伝で、今で言うWIN-WINな関係のお店なんだろう。
この店があるだけで雰囲気が懐かしくて小慣れた感じになるので、ずっと続いて欲しいものだ。
……俺もいつか預けられる身になるのかな?

ぐるりとまわって、時間余裕だけ見れば天狗山に行ける気もするのだが天気は吹雪。
夜景ってレベルじゃねーなと、駅のコインロッカーから荷物を取り出す。

遅れる前に港へ行ってみたが、人は10人いるかどうか。
見所も特にない様子なので、再度コインロッカー(今度は小樽港のだ)に荷物を詰め込んで、身軽に戻って散歩に向かう。
バスの中で見た場所に向かってみたいと思ったんだ。


ということで新南樽市場にやってきました!
やってませんでした!
悔しい……。またこのざま……。

悔しさに任せてそのまま南下。飲食店は周囲に丸亀くらいしかないのかな。
うーん、何か。
と、左に目をやった俺の視界に飛び込んできたものは。


最後の観光先がぶっこふってお前よォ……。