波を避けるための

震災から一年が経とうとしています。
幸運にも、俺の知り合いには亡くなった方はいません。
あの日できた傷跡は今もまだ深く、被害にあわれた全ての方に、耐え難い苦しみを与えていると思います。
俺にとっては微かに揺れる程度のことしかなかったあの日。
人々が、自分の未来、他人の現在に不安を抱いたあの日。
笑顔で迎えるべきなのか、泣いて迎えるべきなのか、話題にしても平気なのか。
わからないけれど、わからないのなら、俺みたいな中途半端な距離の人間が今のうちに考えることを考えておいたほうがいいんじゃないか。
そう思ったので津波対策、というか、思いついたことをぽんぽんと言っていくことにしました。

 

その昔、テレビで取り上げられたモノがある。
家庭用シェルターだ。
こんなもの作るってすごいなぁ、と見入った覚えがある。
地下を増設できない人のためのものもあった。

1坪ないくらいのサイズに二人まで入ることを想定し、中でやりすごす。
これにGPSを標準搭載して、強度もつけ密閉性があれば、使えるのではないか。
そんなことを考えた。
勿論、波には流されるだろう。だが今なら衛星経由で現在地を伝えることができる。
GPSを単三電池なんかで起動させて、起動してるとこには人が居るってことなんだから外れがない。
必要だと伝えておけば電池は常備できるし。
置き場がないというのが導入を悩むポイントだが…一軒家の人をメインに考えるものだから駐車場があるならそことか…?
……土地が余ってる場所が前提っぽいんだよなぁ。
外に大きくナンバー入れて、救出したら該当除外とかできるし。
そうでなくても救出後GPSのスイッチ切り替えなりで「救出済」信号を送るとかできるわけだし。
強度についてはJPS貨物のコンテナが去年どうだったかで参考にできる。
救出時の開封方法や室内灯についても考えなきゃいけない。
バッテリー詰んでもいいけど、そんなにもたないものだろうし手動で発電できるようにすべきかもしれないが、手動はまだまだ効率が悪いしなぁ。
解決すること、考えるべき問題は山ほどあるけど「一家に一台備え付けられた小船」のような扱いで作れないかな。
価格が150万くらいしそうなのも考慮するところ。

 

地下に作れる人がいるなら、地下室でやり過ごすことは無理ではないだろう。
地上2階で待機するより現実的だ。
揺れる中、崩れるかもしれない屋内に居るのは不安だろうし、水圧対策なんかも必要だろう。だけど何もない平地に立たされるよりはまだ希望がもてる。
情報入手手段がラジオくらいな気がするし、出られるようになるまで待つしかないのも負担になる。
地下だとそこがネックか。
広さが充分用意できるのが利点ではあるけれど、そのぶんかかる設置費も半端ない。
扉も重くなるだろうから、老人なんかは使えるか不安だし……。
電動アシストで軽くなるだろうが災害時、停電してる問題は勿論あるわけで。
縦開きだと必要な力量も大きいし、普通の扉みたいにしちゃ意味が無いし。
そもそも重すぎると日常生活で無駄なスペースになってしまうんだよな。
入りやすければ倉庫なりなんなり使えるんだけども。
逆にいえば、扉の問題さえ解決すれば使えるものだということにもなるだろう。
次点で不安なのは地上部分損壊時に連鎖で亀裂やら崩れたりやらそういうのなんだが…一番の問題でもあるよな。
大丈夫なように分断したら家の強度が低くなるし、くっつけたら割れるだろうし。
深めに掘って地上と地下の間に対策を施すしかないかな、これは。

地下施設といえば、地下鉄が網のように走る場所では地下待避施設は作るべきだと思うんだよな。
地下鉄上部でも、下部でもいいから。
地下鉄の走っている場所は高い建物も多いし非難はしやすいもんだけど、そういう建物がない場所って対策がないようなもんじゃん?
あまりめったやたらに掘るのはオススメできないし、本当に必要な部分だけでいいからさ。
高いところまで上るのは辛い人とか、そういう人のための施設でいいんだよ、そういう人に向けた場所がきちんとないと。色んな人の集まる都会なんだから。

 

あとは湾岸工業地帯がなぁ…。
かなりの古さだけど、強度についての心配はあまりしなくていいかもな。
心配しても補強やネジの取替えくらいしかできないし、あのサイズなら耐えれそうな気がする。
それでも311の時の波で「すれすれ耐えれそう」な印象だから、あれより大きくなると厳しいだろう。
想定される状況を見て、工場の管理者や、設計者などが各々判断するところだ。
波よりも、劣化している部分が地震でどうなるかがポイントか。

湾岸工業地帯は逃げづらそうだから、非難には一番きつい場所じゃないかな。
隠れることもできないから、対策が確実に必要な地域だ。
埋立地である場合も多々あるし、せめて徒歩10分で到達できる場所に避難場所ができてほしいよな。
出勤している人も車が多いだろうし、車で途中まで逃げる、とかじゃ危険になるわけだから徒歩圏内。
働いている人は、そういう場所をきちんと見つけているのだろうか。

しかも湾岸って倉庫も多いじゃないか、物流・仕分け倉庫とかあまり頑丈じゃなかったりするし、搬入口の関係で浸水もしやすい。
さらに言うと周りにある建物低かったり出勤はバスだったりで「ちょっとキツくね?」と思うポイントがいくつもある。
人海戦術かける作業だから人多かったりもするし、考えなきゃいけないポイントだなぁ。

あとあの、近所の話で申し訳ないけど堺シーサイドステージが高い場所全然なくって詰んでるんで対策を……。
(堺シーサイドステージ:大和川すぐ横の海辺に作られたアミューズメント施設。映画館や銭湯、隣にはサッカーのコートが14面存在する)

あの時は石油コンビナートの炎上もあったんだよな。
ああいうのは船で持ってくるものだし、陸に移すのは…まぁ…無理だろう。
石油だけじゃなくLPも船だからガスだってあるはずだし。……俺大阪の北の方でしかタンク見た覚えないけど。
石油とかガソリンとか、そういう身近なものだけじゃなく、例えばジェット油。
空港にはジェット油が大量に置いてある。
たとえホテルなどの上階に逃げれたとしても、近くで燃料が燃えているというのはとても恐怖を覚えるだろう。
管制塔や海保が近くにあるから情報はすぐに各所に回せて救出も早めにできるとは思うんだが、火の手が上がればかなりの時間燃え続ける予想はできる。
あの量の燃料が燃えるとなると近くの建物への引火だってありうるし、救出最優先な場所だろうな。

 

南海大地震が起こったとして、波の影響がほぼないだろう瀬戸内のことですらここまで不安を覚えるんだ。
関東は、もっともっと深く考えて対策を講じるべきだろう。

震災すぐみたいに、「次の災害はもっとひどい、だから警戒地域を拡大」とか、そういう恐怖を覚えさせるだけの言葉じゃなくて、「どこで」「どれほどの深さで」「どれほどのエネルギーが」「どういう風に」影響を与えるかによって発生直後の状態は変わるのだから、きちんと細かく考察、計算した上で災害に対しての動きを想定すべきじゃないのか。
311は悲しく、恐ろしい出来事だった。だがそれだけじゃない。
今までになかったタイプのデータとして活用できる出来事なんだ。
縦・横・太平洋・日本海・深さ・力量・断層への距離。
俺たちの生きているたった20年間でも、これだけのパターンを分けた大きな地震があったんだから、きちんと、この「それぞれ」で考えるべきだと思う。
勿論、“最悪の状況”を覚悟しておくことは必要だろう。
だけど、“最悪の状況”だけの用意じゃ考えられなかったような出来事だって起こるんだ。
“最悪”が1パターンだけなんてことはありえない。

人を脅かせるばかりの、テレビの向こうの教授たちは…どれだけの事を伝えきれてないのだろう。
最悪を教えるばかりの番組は、どれだけのことを伝えるつもりなのだろう。
伝えるのなら、覚悟させる伝え方であってほしい。
なぁ、本当にその報道は、それだけで“足りている”のか?